WACATE2013冬 ポジションペーパー

テスト自動化研究会での活動もあり、自動化を武器に切り開きたいと思っていたところで立ちはだかった壁。自動化は手段でしかないのですよね、やはり。晒します。


「Approach run for the high jump」

高跳びというのは、バーを越える瞬間に注目しがちだが、助走も重要である。高く飛ぶためには力が必要で、力の素となるのはスピードだからだ。もちろん、バネと呼ばれる膝の柔らかさや強さも重要だが、それだけでは垂直跳びとなんら変わらない。より高く跳ぶには、助走が必要なのだ。スタート位置が悪く踏み切り位置を誤ると、一番高いところでバーを越えられなかったり、バーにぶつかって落としてしまったりする。high-jumperは、何度もスタート位置を変え、練習を繰り返し、自分のベストなスタート位置とコースを見つけ出す。

私は中学3年の時、高跳びの選手だった。正確には三種競技という競技種目の中で、高跳びもやったという程度だが、三種競技ではその年の県の10傑で1位を取ったのはちょっとした自慢だ。しかし年間1位というだけで大会成績は県大会止まり。高校時代は幅跳びをやったが、県7位が最高で、ぱっとしないまま終わってしまった。それから10年以上が経ち、デスクワークに慣れた体は運動不足の塊でしかないが、今でも、ステップのリズム、足を入れる角度、視線などが頭に浮かんでくる。

助走のパワーを高さに変えるのが踏み切りの役目。そのあとは、ベリーロールでもいいし、背面跳びでもいい。目標は少しでも高いバーを跳び越えることだ。私は社会人になって7年近く、テストの自動化を担当していた。それは、手動テストがベリーロールであれば、背面跳びでテストに挑んでいたということなのだろうと思う。背面跳びは一般に、ベリーロールに比べて高く跳べると言われているが、助走がうまくいかなければ、跳躍法がどうであろうと高くは跳ぶことができない。当時私は大規模プロジェクトに参画しており、ベストな助走からバトンを受け取っていたからこそうまく動いていた。だが、自分一人ではそれができないということに気づいたのが一昨年の夏であった。そして昨年夏に初めてWACATEに参加し、今はその縁でテスト自動化研究会の仲間に入れてもらいながら、業務ではシステムテストを担当している。業務をこなしながら考えさせられるのは、やはり、助走:Approach runの大切さだった。

高跳びは「高く跳ぶため」に助走をし、踏み切り、ジャンプをするが、テストは一概に何のためとは言えない。「品質を守るため」かもしれないし「バグを出すため」かもしれない。テストは、全員が高跳びで挑む必要はないし、100mと砲丸投げで挑んでも構わない。何の道具や技術を使って挑むかは、そのテストが「何のために」テストをする必要があるのか次第だ。しかし、「何のために」という部分が明確になっていないことが多いから厄介だ。分析し、戦略:Approachを立てる。それもテスト活動の一つだ。戦略:Approachが明確なテストは、実施、報告まで、迷いがなく筋が通る。あとはそれを実現するための技術が必要だ。

それに対して私はまだ、テスト要求分析やテスト設計がうまくいかないし、自動化経験が長い割にはへなちょこプログラムしか書けず、自動化システムの構築も一苦労二苦労してようやくできあがる始末だ。技術者としては未熟この上ないが、このWACATEでたくさんの仲間に出会い、たくさんのチャンスと夢をもらった。それ以来、挑戦の日々を送っている。最善の助走:Approach runを見つけ、それが実現できるエンジニアになれるよう、これからも努力していきたいと思う。